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駆け擦りエロスに後追いタナトス

今日の貴方は昨日の私

スティグマとしての酒鬼薔薇聖斗

雑記


Dir en grey - 朔-Saku- [PV] - YouTube

 

 

――酒鬼薔薇聖斗と俺は、同い歳だ。

 

1997年初夏、神戸連続児童殺傷事件の報道が、連日テレビで躍り狂っていた。

ワイドショーに出演していた専門家は、「犯人は30~40代」と推察を披露していたが、俺は「未成年なんじゃねえの?」と思っていた。根拠は無かった。

大人や常識への反発から来たひねくれだったんだろう。父親の書棚にあったFBIのプロファイル本を、背伸びして読んだ経験からの知ったかぶりの披露でもあった。

でも、何か、大人の、成熟した人間には無い危うさを感じていたのかも知れない

中二病と言う言葉では片付けられない、凄惨な自滅願望というか、自罰欲求を満たす為の強烈な他罰志向というのか、何か同じ時代を生きている、生きなければならない者への好奇心があったのだろうか……。

 

授業中、ふと窓の外を見る事があった。

今、この瞬間、何もかも滅ぼす魔王の様な存在が現れたら……?朝、目が覚めると自分以外の人間が消え去っていたら何をしようか?

そんな妄想を繰り返していた。

 

酒鬼薔薇聖斗も、そんな妄想に取り憑かれていたのかも知れない。そして、それを、実現せんと…………。

 

幸いな事に、俺は妄想だけだった。

クラスメイトとも、担任の教師とも、笑い合えた。中学時代の友人は、今でも友人だ。

 

もし、俺が誰にも心を許せなかったら、酒鬼薔薇聖斗の様な殺人鬼になっていただろうか?

もし、酒鬼薔薇聖斗が誰か心を許せる存在がいたならば、どうだったのだろうか……?

 

過去の出来事に「たられば」は通用しないが、しかし、時折考えてしまうのだ。

ほんの少しのすれ違いや思い込みが、大きな溝を築いてしまうものだと思う。

 

俺は、酒鬼薔薇聖斗を憎めない。好きでも信者でも無いが、贖罪が充分とも思わないが、酒鬼薔薇聖斗は俺の病みの墓標に思えるのだ。

それもまた、俺の妄想なのだけれど……。

 

21世紀は、心の時代になると言われている。ならば、酒鬼薔薇聖斗は、「心の病みの時代」の始まりを告げてしまったのかも知れない。

そして、それに惹き付けられるも、嫌悪し放逐せんとするも、そのどちらも心の病みを体現してしまっているのではないだろうか。

俺は、そのどちらでもなく、そのどちらでもある存在だ。

 

――俺は違和であり、矛盾である。

これは常に思う事だ。ならば、そう生きていくしかない。そう、生きていこう。

それが「異常犯罪の世代」としての俺の生き方なのだから。